催し

微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点

京都大学21世紀COE

 
講演会・セミナー

 

21世紀COEプログラム「微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点」

大学院生を対象とした特別セミナー

平成17年3月14日 (月)
農学部総合館 応用生命科学専攻第3セミナー室(E-112)


Aromatic metabolism in obligate anaerobic bacteria
(偏性嫌気性細菌による芳香族化合物代謝)

Matthias Boll(マティアス・ボール)助教授
(Associate Professor, Institut fur Biologie II, Mikrobiologie, Universitat Freiburg, Germany)

連絡先:加藤暢夫(Tel: 6385)

 

 M. ボール博士は、フライブルグ大学のフックス教授の下で、脱窒性細菌による嫌気的な芳香族化合物分解について研究し、ベンゾイルCoAの生成とその還元的分解に関する酵素化学的研究で顕著な成果を上げている。最近は、絶対嫌気性菌であるGeobacter metallireducensDesulfococcus multivoransの芳香族化合物分解経路を決定した。本セミナーでは、最新のデータを基に、嫌気条件下での微生物による芳香族化合物分解について解説される。

開催報告
 本講演でBoll博士は、芳香族化合物の嫌気分解の代謝、関与する酵素、相当する遺伝子の発現調節について述べられた。
 対象とした微生物は、通性嫌気性の脱窒細菌、Thauera aromaticaと絶対嫌気性のGeobacter metallireducensである。嫌気的条件での芳香族化合物の開環反応を触媒する酵素のうち、特にベンゾイルCoAリガーゼとベンゾイルCoAレダクターゼについて、両菌株の酵素を比較し、T. aromaticaG. metallireducensではコードする両酵素ともアミノ酸配列には高い相同性があるにも拘わらず、後者の場合は、Moを酵素のコ・ファクターとして、Seをセレノシステインとしてそれぞれ反応に必須であることを、生化学、遺伝子、物理化学の観点から説明された。
 絶対嫌気性細菌による芳香族化合物分解の詳細について、未だ公表されていないデータを示され、同博士の酵素反応に対する卓越した洞察と実験結果に基づく機構の解明の話に、全ての受講者は感銘を受け、活発な討論が繰り広げられた。