催し

微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点

京都大学21世紀COE

 
講演会・セミナー

 

21世紀COEプログラム「微生物機能の戦略的活用による生産基盤拠点」

大学院生を対象とした特別セミナー

平成16年10月18日 (月)
農学部総合館 W218講義室


蛋白質立体構造から機能を予測する

木下 賢吾
(東京大学医科学研究所・助教授)

連絡先:西岡孝明(Tel: 6121)

 

 酵素や阻害剤と酵素の複合体の結晶構造から,酵素蛋白質と基質分子の間に働く相互作用を知ることができる.しかし,何も結合していない蛋白質の立体構造だけを与えられて,その蛋白質がどのようなリガンドと,どのような相互作用をしうるのか,を ab initio 的に予測することは現在のところほとんど不可能といえる.このような力不足が,蛋白質の機能デザイン・機能改変をはじめ,医薬開発の妨げとなっている.バイオインフォマティクスは,数多く蓄積された酵素複合体の結晶構造データをどのように処理し,どのような戦略を持っているのだろうか?このような視点から解説をする.

開催報告
 演者である木下助教授は,蛋白質の立体構造比較の分野において世界的に顕著な業績を挙げている新進気鋭の研究者である.講演では,アミノ酸配列データベース,立体構造分類データベースの紹介をはじめ,検索のしかた,検索結果の見方,立体構造のモデリングなどについて丁寧な解説があった.
 特に,酵素や阻害剤と酵素の複合体の結晶構造から,酵素蛋白質と基質分子の間に働く相互作用を知ることができる.しかし,何も結合していない蛋白質の立体構造だけを与えられて,その蛋白質がどのようなリガンドと,どのような相互作用をしうるのか,を ab initio 的に予測することは現在のところほとんど不可能といえる.このような力不足が,蛋白質の機能デザイン・機能改変をはじめ,医薬開発の妨げとなっている.このような不足を補うために必要な,アミノ酸配列および立体構造データの処理,戦略について重点的にお話をしていただいたことは有用であった.
 本専攻の大学院生がこのような講義をうける機会が少ないので,大きな教育的効果をあげることができた.約2時間の間,熱心に耳をかたむけ,講義のあとは多くの質問に対して丁寧に答えをいただいた.出席者は約60名であった.